元国税の警告する仮想通貨リスク

 

元国税の警告する仮想通貨リスク

 

 

2017年は、仮想通貨の投資家にとって「一喜一憂」を繰り返した一年だったのではないかと思います。

一部の専門家が語るように、仮想通貨が「基軸通貨を超える存在となる日」は来るのでしょうか?

 

メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』の著者で元国税調査官の大村さんは、

自身のメルマガの中で世間が大きく関心を持つ「仮想通貨は脱税に使えるのか?」という疑問に答えつつ

「仮想通貨は信用があるという喧伝に惑わされるべきではない」と警告しています。

 

 

ビットコインは脱税しやすいのか?

 

今朝の朝日朝刊の一面にビットコインに関する興味深い記事が載っていました。

まずこの記事を読んでみてください。

 

ビットコイン長者、国税がリストアップ着手 税逃れ対策

「ビットコイン」など仮想通貨の急激な値上がりを受け、国税当局は多額の売却益を得た投資家らの調査を始めた。数千万~数億円の利益を得た投資家らをリストアップ。確定申告に向け、取引記録や資産状況をデータベースにまとめ、税逃れを防ぐ考えだ。仮想通貨をめぐる本格的な情報収集への着手は、初めてとみられる。

仮想通貨を物品やサービスへの支払い手段として初めて認める法律が国内で施行されるなど、17年は「仮想通貨元年」と呼ばれた。時価総額1位のビットコインは、1月の1ビットコイン=10万円前後から12月は一時200万円台に、2位のリップルは年初の200倍以上に高騰。1億円以上を稼いだ投資家を指す「億(おく)り人(びと)」が続出したとの情報も出回る。(朝日新聞デジタル)

 

 

昨今、流行のビットコインに関する税の取り締まりが強化されるという記事ですね。

 

「仮想通貨」というのは、実際の「貨幣」が存在せずに、データ上だけで取引されるものです。

つまり、「実体のない通貨」です。

 

現物がないということは、なかなか存在が把握しにくいのではないか、というイメージを

持っている方も多いかと思われます。だから、「脱税に使われやすいのではないか」と。

 

が、実際はその逆です。

ビットコインほど、脱税がしにくい「金融商品」はないと言えます。

 

ビットコインは、所有者やその取引経緯がすべてデータに残されることになっています。国税当局としては、

そのデータを収集すれば、現在の所有者が誰なのか、ビットコインでどのくらい儲かったのかというのは、

一目瞭然なのです。寸分の誤差もなく、すべてを把握できるのです。

 

そして、税金に関する情報というのは、「個人情報の保護」はまったくないのです。

 

つまり、ビットコインの業者たちは、国税当局に求められれば、

すべての情報を開示しなくてはならないのです。

顧客の情報は、丸裸にされてしまうのです。

 

ただ、タックスヘイブンに存在するビットコインの業者などを使った場合は、

その限りではありませんが…。

 

とりあえず、日本の正規の業者を通してビットコインの取引をしているような場合は、

脱税など絶対にできないと思っておいた方がいいでしょう。

 

 

ちなみに、ビットコインは、今後発展するでしょうか?

私は、しないと思います。

 

仮想通貨というのは、非常に小難しい理屈を用いて、さも非常に信用のある通貨のような喧伝をされています。

が、仮想通貨というのは、「幻想通貨」といえるもので、その通貨の価値には、実体の裏付けがありません。

こういうものは、以前から、時々、生じていたのです。

 

たとえば、記念切手などがブームになり、何百万円の値がつけられたこともあります。この切手ブームも実は、

価値の裏付けはほとんどないものです(郵便料金以上の価値の実体はない)。

でも、みんなが「これは価値がある」という幻想を抱いたからこそ、そういう高い値がついたわけです。

 

この切手ブームのような現象は、これまで人類の歴史の中で、幾度も起きているのです。

いわゆるコレクター商品などが、いい例です。実用的な価値はないけれど、「価値がある」と認める人が

一定数以上いれば、それなりの価値が生じるのです。

 

ビットコインは、どんなに小難しい理屈を並べ立てても、幻想通貨であることには変わりありません。

 

そして喧伝されているように「他の通貨よりも使いやすい」などということは、決してありません。

これだけ価値が上下する通貨が、通貨として使いやすいわけはないのです。

 

今は、世界中の注目が集まっているので、価値は上昇していますが、

そのうち、破たんに近い状態が起きるのではないか、と筆者は思っております。

 

 

元国税局職員が指摘していた「仮想通貨のリスク」

 

一時期、仮想通貨は飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長していましたが、例のNEM流出事件により、

急速にブームが冷え込んできましたね。

 

仮想通貨というのは、幻想通貨といえるもので、その通貨の価値には実体の裏付けがありません

と述べました。

 

すると、それに対してSNSで「今の通貨は金と交換しないのだから、すべて幻想通貨じゃないか」

と反論している方がおられました。

 

確かに、今の世界中の通貨のほとんどは、金などとの交換の義務はありません。

だから、確かに世界中のほとんどの通貨は「有価証書」ではなく、単なる紙切れなのです。

 

今は信用があるから流通していますが、社会から信用を失って通貨の使用ができなくなれば

本当にただの紙切れになってしまうのです。

 

その点においては、確かに仮想通貨も現実の通貨も同様と言えます。

 

 

しかし、現実の通貨は、国家による後ろ盾があります。国は税収という巨額の収入がありますし、

国有財産という莫大な資産を持っています。その大きな資産が、その国の通貨の信用を裏付けているのです。

 

その点、仮想通貨にはそういう後ろ盾がまったくありません。

 

発行元は、なにかしらの資産を背景にして、仮想通貨を発行したわけではありません。

つまり、担保をまったく持っておらずに、証券を発行したようなものなのです。

 

 

また普通の通貨は、発行する国家が威信をかけて社会の信用を失わないような努力をしています。

 

各国の中央銀行は、相当の貴金属や金目の物を保有しています。そして、もし通貨の信用が

なくなりそうになれば、国家は国の資産を使うなど最大限の努力をして、信用維持に務めます。

 

その点が、仮想通貨とまったく違うところです。

 

 

仮想通貨は、中央組織が大量の貴金属を保有しているようなこともなければ、信用が傾いた時に

誰かが資産を投げ出して信用を維持の努力をするようなこともありません。

 

つまり、仮想通貨の信用というのは「人が信用するかどうか」だけなのです。

人が信用しなくなれば、価値はまったくなくなり、それで一巻の終わりなのです。

 

これほど根幹に不安を抱えている通貨は他に例がありません。

 

私が「仮想通貨は衰退する」と判断した最大の根拠はここにあるのです。

 

 

なぜ仮想通貨の値はゼロになっていないのか?

 

ここまで読んで来られた方の中には、

 

「それでもまだ仮想通貨はゼロになったわけではない」
「一番いい時に比べれば半分以下になったが、まだ上がることもあり、下がりっぱなしではない」

 

と反論する方もおられるでしょう。

 

なぜ、仮想通貨の価値がゼロになっていないのかというと、仮想通貨のことを

「まだ信じている人がいる」というだけのことです。

 

信じている人がいる限りは、価値はゼロにはなりません。

また、もしかしたら、仮想通貨を信じ続ける人は消えず、永遠に仮想通貨の価値は

ゼロにはならないかもしれません。

 

しかし、状況的に見て、仮想通貨は収束に向かう可能性が高いということは言えます。

 

今、仮想通貨を持っている人のほとんどは、仮想通貨を「通貨として使いやすい」から持っているのではなく、

「値が上がりそう」「儲かりそう」と思って、保有したものと思われます。通貨としては、こんなに価値が

乱高下するようでは、非常に使いづらいはずです。

 

そして、通貨として広く使用される可能性がなくなれば、「儲けのための金融商品」

としての価値しかなくなるわけです。 

 

しかし通貨として普及されないとなると、「金融商品」としての価値もやがて下がっていくと思われます。

先ほど述べましたように、仮想通貨には「最終的に価値を保証する担保物」がまったくないわけです。

普通の通貨であれば、発行国の資産が担保物になります。しかし仮想通貨は、

一旦下がり始めれば、いつでもゼロになる可能性があるのです。

 

つまり、仮想通貨は、 

 

「通貨としては現実的に使いづらい」
「金融商品としては価値がまったく保証されていない」

という二つの大きなリスクを持っているのです。

 

 

この二つのリスクに誰もが気づくようになれば、

おのずと仮想通貨から離れていくものと思われます。

 

 

プロフィール:大村大次郎(おおむら・おおじろう)
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。

主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。