日本におけるリモートワーク

 

カルビーが、事実上「会社に来なくてもいい」

という働き方に舵を切った。

 

 

カルビーは、自宅など社外で勤務する「テレワーク」の
上限日数(週2日)を撤廃する。制度上は毎日テレワークが可能になる。

 

多様な働き方を認めることで、
優秀な人材を確保するねらいだ。

 

 

一見すると、自由に働け、通勤ラッシュに
巻き込まれることもなく、理想の働き方ができるように見える。

 

実際に肯定的意見も多いが、もちろん

これの裏は

 

「仕事の評価は、成果でのみ行いますよ」

 

ということに他ならない。

 

 

これによって何が起きるか、おそらく
きちんと理解してない人が多いのではないかと思う。

 

 

昔訪れた、あるwebサービスを営む会社は、
「会社に来なくても良く、仕事はどこでやっても良い」
という制度を採用した。

 

当時としては先進的な試みだったが、導入の理由は
もちろん「管理されたくない」という社員と、
「成果を追求する」という経営者の方針が一致したためだ。

 

 

導入に関しては、ほとんど全員が賛成したが、
制度を導入するにあたり、この会社は人事評価の基準を大きく改めた。

 

具体的には、リモートワーク導入前は
評価の軸が以下の3つだった。

 

・業務に求められる能力をどの程度保持しているか
・良い勤務態度か、意欲はあるか
・成果を出したか

 

リモートワーク導入後は、評価の軸は以下の2つとなった。

 

・仕事の締め切りを守ったかどうか
・挑戦し、かつ結果を出したか

 

つまり、「意欲」や「能力」は評価の対象から外します、成果だけで見ますよ

という宣言が為されたと言っても良い。

 

 

さて、この制度を精緻に運用した結果、
この会社はどうなったか。

 

結論としては、予想通り(というか狙い通り)
30代後半から40代にかけての「実力のない社員」
のかなりが、給与の大幅減を経験した。

 

逆に20代後半から、30代半ばの
「本当に仕事をしていた層」の給与が大幅にアップした。

 

つまり、社内は「2極化」したのである。

 

 

そして、その後「給与減」された
社員の半分は、会社を辞めた。

 

彼らは口々に言った。

 

「仕事の過程も見てくれ」
「長期的な成果の仕事ができない」

 

しかし、経営陣は「自由に働くということは、
過程は個人の裁量の問題だし、管理できない」といい、

 

「長期的な成果の仕事についても、
マイルストーンを置いて評価すれば問題はない」と突っぱねた。

 

そして経営陣は発見した。

 

「リモートワークにしても、会社の業績は落ちないどころか、
利益が大幅に増える。会社はもっと少ない人数で十分回る」と。

 

 

「残業させない」という方針に切り替える会社も、
上の会社と本質的には同じだ。

 

つまり「労働時間は短くしてね。残業はしないでね。」
というメッセージは、

 

「短い時間で成果をあげる人になれ」
といっている。

 

 

逆に言えば、面接において「残業できるか」
「長時間労働できるか」と聞いている会社は
「時間給志向」の会社である。

 

彼らの会社では「長時間働くこと=成果」だ。

 

それはある意味、「労働者」にとっては
安心できる、生活の保証された世界ではある。

 

 

以前、キヤノンITソリューションズの発表した
「在宅勤務をカメラで監視するシステム」が話題になった。

 

 

システムでは、顔認証技術によりカメラ映像から
本人の在席・離席を自動判別し、勤務状況を検出・記録可能。

 

また、「なりすまし」や「覗き込み」を自動検出し、
勤務管理者へ通報するとともに、画面をブラックアウト
させて情報流出を阻止。(中略)

 

 

こういったシステムを導入するのは、「時間給」の
会社だろうから、監視下で長時間働けば、それなりの
報酬が手にできるということだ。

 

しかし、「結果しか見ない」会社においては、
こう言った監視は必要ない。

 

「結果しか見ません」

で後は自由にさせればよい。

 

 

つまり今後、世の中には2つの働き方がある。

 

「自由裁量、成果報酬」か、

「監視つき、時間給」かだ。

 

今後の企業が欲しがるのは、
前者に対応できる人材だ。

 

 

ということは、「自由裁量で成果を出せる人」の
市場価値は上がり、そうでない人の価値は下がる。

 

 

「会社に来なくても良く、仕事はどこでやっても良い」と、
成功する人と落ちぶれる人がはっきり分かれる。

 

今、そう言う世界に、我々は生きている。